観測地(星見場所)変遷ものがたり~その2~
◇市街地高台(1970年代前半~1990年代)
玄関から一歩外へ出ればまだまだ天の川が見られる。
そんなうたい文句がまかり通る田舎町にも、光害の洗礼は押し寄せてきた。
周辺には街灯が点いたため、よじ登って袋をかぶせて観望したことも。
会長が市内をかけずりまわり、適地を見つけてきた。
それがこの場所。市街地から車で7~8分。
移動手段がなかった頃は、車に便乗させてもらって訪れた。
市街地からさほど離れてはいないものの、周囲に余計な光はない。
生活光が落ちる時間帯ともなれば、頭上には満天の星空が広がっていた。
この場所には地主の了解を得て機材収納小屋を建てた。
DIYに長けたメンバーが手間をかけ、単管パイプとトタンで小屋を手作りした。
この頃は流星の係数観測に取り組んだ。
機材などなくても、簡単に取り組めるしインパクトもある。
誰が記録係になるかで揉めたりもしたっけ。
西側には松の木があり、そちら側に流れると「松の木群、1個、1等級」などと一晩中係数観測に興じていた。
当時は同好会報も出していて、そこに掲載した観測結果が天文雑誌に紹介されたこともあった。
8月13日、ペルセ群観測明けの朝、ギリギリまで粘って昇るシリウスを見るのが恒例だった頃。
車を停める場所から観測場所までは狭くやや急な上り坂になっている。
車と観測場所を何度も往復しながら機材を運び上げた。
あるとき、メンバーの1人が少し遅れて参加し、機材運搬を始めた。
すると「うぁーっ」という叫び声がし、その声が次第に小さくなった。
駆け寄ると、その細い道から足を踏み外して転落していたのだ。
着ていたサマーセーターは木の枝にひっかかりボロボロに。
しかし機材だけは離すことなく、しっかりと抱えたままの姿勢で落ちていて、後々の語り草に。
観測小屋までの道は山間の一本道。
舗装はしてあるが、車のすれ違いには苦労するような道。この道路の先には集落がある。
あるとき、夜中に何台かの車が立て続けに通った。
こんな時間になんだろうと思っていると、誰かがポツンと「酒を飲んだ人がこの道を通って運転して帰るらしい」
ふと振り返ると、同好会メンバーの警察官が笑顔で立っていた。
いま思うと、この時代が一番充実していたのかもしれない。
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